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2011.02.17

It TAKEs... ~金と時間は取られるもの

ご存知ミヒャエル・エンデの児童文学。映画にもなったぞ。
映画は物語の筋がわかりやすく、かつ画面作りがおもしろく仕上がっているので一度見るべし。

この物語に登場する『灰色の男たち』が何者なのかは、実はよくわからない。
実際テレビを見ていて勉強の時間がなくなったからテレビが時間どろぼう、という単純な話じゃあるまいし。それは誰でもわかっていて、哲学の本からセラピー本から時間活用法のライフハック本までの中で様々な解釈が出ている。でも一度も「なるほど」と納得させられたものはない。

「あなたは午前中に〇〇をして何分、一ヶ月では何時間、そして一生ではうんぬん時間の…」
というどこか寒い勘定をしながらこの男たちは時間の有限性を説く。その時間を『節約』すれば、もっと豊かな人生が送れるんだよーとか。ちょっと前にビジネス本で全く同じような計算式を見て思い出し恐ろしくなり、その場で読む気をなくしてしまった。
で、その男たちのいう通りに時間の『節約』に務めた人は確かに豊かになったんだが、いつもあくせくして、しかも満足できなくて疲労感ばかりが募る毎日を送るハメになってしまう、という話。

収入さえあれば温泉旅行に行ったり趣味のギターを買ったりと、プライベートが充実できるということもあるだろう。詮無い知り合いの愚痴を早めに切り上げることで、図書館で好きな本でも読めるかもしれない。
ある時間を別の用途に代用したり、前倒しにしてフリーな時間を後に作ることが悪いということは多分エンデも言ってない。むしろ

「一時間日向ぼっこなんてするより、TOEICの勉強をして将来の就職を有利にすることがスマートな方法だ」
「そんなちんたらやってないで、時間を短縮して沢山の数の仕事をこなしたほうが収入が増える賢いやり方だ」

と、暗にお金がある方がいい、他人とのスキル競争に勝てる方法がいい、と価値観のファシズムも植えつけているところがマズいんじゃなかろうか。灰色の男たちがやった一番恐ろしいところは、そこなんじゃないかと思う。
つまり、別に草食系でのんびりやっていいじゃないー、と暮らしてバランスが取れていた人々の日常を、いきなりウォールストリート式or六本木ヒルズ式に改造してしまったようなもので、必ずしもうまくいくわけがない。
「もっとうまく生きれますよ」と言う人は無意識に「この生き方がいいんですよ、あなたの生き方じゃだめですよ」とも言っている、ということは忘れないでおいたほうがいいかもしれない。

忙しいのが悪いわけじゃ決してない。ワーカーズハイ、みたいな超忙しくてゆとりも暇もないのに仕事が楽しくて気持ちよくってしょうがない、というような状態もあるらしいし。
でも他人が決めたいい生活のために他人が決めたやり方に従って働くのはどうかなー。そうしていつの間にか麻薬やヤクザ社会みたいに、他人の価値観から抜け出せなくなるってまずくないか? という考えも決して馬鹿げてはいない。

だいたい「うまく生きられる」という考えそのものが、自分は自分のスキルで全てをコントロールできちゃうんだぜ、という傲慢なのかもしれないし。

なんだったのかなあ、灰色の男たちは。
作中でホラが言ったように有用に生きよう、豊かになろう、とはいつか誰かが言い出したことのはずだ。それはひとつの価値観で、言い出した人はなにも悪くない。という意味では、あいつらは人間の中に自然発生したらしい。
で、先進国の人間みんながそうしようと飛びついたから灰色の男たちいは生きる場所を得て、育って増えて、今度は人間を支配するに至ったわけだ。そこにあるのは有意義な生き方、という固定概念だから、その固定概念こそが灰色の男たちの正体なのかもしれない。

で、余談。
実際はエンデが「盗まれた」といいたかったのは時間ではなく、お金らしい。つまり財テクに関する疑問の念から生まれた話だったりして。そういやこの人は反資本主義派だった。
お金と時間はストックされるかフローしていくかの違いはあるが、なんか自分じゃないものにガリガリ削られていく気がするもの代表格だよな。
時間もお金も本来『使う』ためにあったはずだよな。なのに
「時間をよりよく使うために時間を使って色々勉強しなくちゃいけない」
「お金をもっと儲けるためにお金を儲けて投資しなくちゃならない」
と、手段と目的がループしている気持ち悪さには共通のものを覚える。エンデさんすごい。左派が書く児童文学なんて、なんて文句を言う人は子供に『無駄な』児童文学なんて読ませずに、『有効に』勉強させてハーバードに入れてくださいねー、なんてね。
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