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2010.10.06

自己が満たされるとか…

同じサークルのメンバーの冗談に後輩が

「おい、てめえ咲夜さんバカにすんなよ!?」

とマジギレして、当然軽い言葉遊びをしただけの相手もイラっときてまずい空気になった。
慌てて止めたのち周囲にも「不快な話題にわざわざつっかかることはお互いによくない」と注意された本人はむっつり黙り込んだとさ。
大学生になって中学生みたいな人がいたもんだ。というかキミには咲夜さんに関わるどんなトラウマがあるんだ?


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ここ10年ほど運動をやっていなかった前ヶ瀬が週3回のジム通いを初めて半年経ったので、『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』とかいう本を呼んでいる。
ダイエット本は巷に溢れていても、健康とトレーニングに関わるしっかりした本はあまりなく、高い上に前ヶ瀬は別にスポーツ選手じゃないから、そこまで専門的な内容もいらないのだった。『仕事ができる人』というのならデスクワーカー向けだろうし。

とりあえず今までおもしろかったのは

「できる仕事は”目的を持つ、意識を変える、自分の限界を見定める”など完全に体育会系の世界である」

みたいなところ。
あー、体育会系のノリにどうしても馴染めない前ヶ瀬は高い社会的ステータスなんて得るべくもなさそうだ。
というかビジネスが体育会系というよりも、受験生だって技術職だって事務職だっていわゆるなれっじわーかーというやつだって努力の指針は共通なのかもしれない。そこは社会生物学+社会学・経済学と同じで紐付けした人勝ち。


加えて一番気になった、というかある意味恐ろしくなったのが

「仕事で収入も社会的ステータスもある人は、でもそれって永遠じゃないよねと不安になって、決して裏切らない自分の肉体を鍛錬したがる」

というもの。
明日にでもいきなり病気になるとか車に轢かれる危険もなきにしもあらずなんだがな。というかいいエリートが中学生みたいなこと言わないでくれよ、下々が心配になるじゃないか…。

だが著者の「人は肉体を鍛えている人を無条件で賞賛する」という指摘は正しい。しかしそれはイメージマジックで、考えてみればおかしい見方じゃないか?
そうなると、自分の「強い肉体と精神」がほしいのか、「自分は強い肉体と精神を持っているという満足感」がほしいのかが怪しくなって怖い。

「お金も地位もあるから次は自分の体もしっかりさせないと」なんて言いだす輩は、どんな他人が羨むものを持っていても一生満足できない不幸な人とも言えるんじゃないか。
仕事をもっと早く片付けられるようにするとか、いい企画書を作るとか、いい実験手法を生み出すとか仕事に関わることならともかく、自分自身を鍛えるなんて一番曖昧だ。「鍛えられた自分がいい仕事をする」という見方もやることが筋トレではどうもずれていて気持ち悪いし、「仕事はやるだけやったからこっちを」だとしたら、仕事なら他人が評価をくれるが自分自身に満足できる日なんて永遠に来ないのに。
よりよいものを得ようと思って頑張るのは素晴らしいことだが、最近の努力・自己責任ブームを見るに「努力家ほどいつまで経っても充足できないスパイラルにはまってしまう」んじゃないかと思う。理想が高いだけに。
で、それでももっと高みを見られると信じる人、あるいはよくいえばフロンティア悪くいえば無間地獄だと知っていても別の目的がある人が頑張り続けるとする。その資質はあまりに稀有で、みんなが目指すロールモデルにするには危険な気がするんだが。

一昔流行した「自分探し」が市場経済を巻き込んで慢性化すると、こうなるのかもしれない。
とはいえ自分の現状に満足することなくより努力するような人できたが、昨今のブームに追い立てられて疲れ果てるような可哀想なことにはなってほしくない。


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大学という狭い世界だって、冒頭にも書いたように色々なものが見れる。
ゲームと世渡りのうまさだけを超ハイテンションで自慢する子や、志望校に行けなかった悔しさを思い出して涙を滲ませる子を見るにつれ、

「誰だって自分をいっぱしに見せたいけれども、その望んだ自分を築けるのは本当に運のいい(こっちの方が努力したとも限らず)ほんの少しだけ。そして、どっちにしても結局詮のないこと」

としみじみ思う。
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